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芸研日誌

芸研日誌

2019年12月09日

ナイフと聖夜

みなさんこんにちは、二回生の山田です。今回は12月なのでクリスマスついての思い出を書こうと思います。

その前に、この日誌は非常にセンシティブな内容を含んでいます。中学生以下の方は読まないことをお勧めします。

さて、いつも通りタイトルが意味不明ですが、別にサンタさんにナイフをねだったわけではないです。
あれは私が4歳くらいのクリスマスイブでした。その日私はサンタさんに頼んだプレゼントへの期待に胸を膨らませながら、美味しいケーキと料理を食べ、お風呂に入ってパジャマに着替えて、あとは寝るだけという万全の態勢で聖夜を待っていました。食事を終え家族でクイズ番組を見ていた時、事件が起こります。その番組である問題が出たのです。謎めいたトリックで大富豪が殺されて、さぁ、犯人は?という問題でした。問題の物騒さを中和するようなポップなイラスト付きの問題でしたが、私は当時それが二次元だと理解できる脳がありませんでした。イラストの大富豪の刺された痛みや死への恐怖なんかを克明に連想してしまって、そのワンシーンだけでも気絶しそうなくらいにショックを受けました。そんな私に鞭打つ更なる事件。クイズ番組が終わり母がチャンネルを変えた先は刑事物ミステリーのドラマ。そういうドラマってストーリーの冒頭、事件から始まることが多いですよね。そして大抵は殺人事件が……今もはっきりと覚えています。コートを着て橋の上に向かい立つ二人の男性。一方がもう一方の腹にナイフを突き立てるアップ…崩れ落ちる男性…
今思えば本当になんでもない演出です。今見ても何も感情は湧かないでしょうが、あの頃の私にはその二つが延々リフレインする悪夢になるくらいトラウマでした。その人の痛みをまるで自分が受けたかのように感じてしまって、痛くて悲しい気持ちでいっぱいになりました。

その日はクリスマスの夜。早く寝なきゃサンタさんこないよ、と急かされて布団に潜り込んだものの、見るのはナイフが刺されるような痛みを伴う悪夢ばかり。真夜中に目覚めた時には冷や汗をかいていました。オレンジ色の豆電球、汗を吸った布団、家族の安らかな寝息、全てが早く寝なきゃと焦る私を急き立てていました。あの時私が助けを求めたのは、神でも母でも父でもなく、サンタさんでした。
ふと、人の気配を感じて、薄眼を開けた私の目にチラリと映ったのはある人のトレードマークの丸っこいブーツ。サンタさんだ、と直感的に思いましたが、私はその時顔を確認したり捕獲しようとしたりはせず、ホッとして眠ってしまいました。翌朝目が覚めた私の枕元にはラッピングされたプレゼントが置いてありました。

後々サンタさんの正体についてお話がありましたが 、私は心の中でなかなか信じることができませんでした。だってサンタさんいたよ、とあの夜のことを話しても鼻で笑われるばかり。夢ということ片付けられました。

でも、私はまだ心の片隅でサンタさんを信じてしまってる節があります。クリスマスの夜、悪夢に押しつぶされていた私を救ってくれたのは、父でも母でもなく、紛れもなくサンタさんだったからです。あれから何度も同じようなことはありましたが、サンタさんは一年で1日だけ、私を助けてくれる、確かな存在であり続けています。

そのことを母に話して、もしかしたらまだサンタさんを信じている良い子にはプレゼントがあるかも!サンタさんにいいカメラが欲しいですってお手紙書こうかな、と期待を込めて(母をチラチラ見ながら)言うと、母は聖母のような笑顔で言いました。

「サンタさんからの伝言……自分で買いなさい!って」

自立の時が静かに迫ってるみたいです……助けて、サンタさん!