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芸研日誌

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2018年12月03日

大徳寺 真珠庵

こんにちは。2回生の田部です。
師走になってしまいました。軽やかに2018年走り抜けたいです。
先週いろんな寺院で秋の特別公開をしている中、わたしは大徳寺に行ってきました。ここはわたしの家から一番近いお寺で、昔から大徳寺のお坊さんがパン屋さんでパンを買い、袈裟をなびかせバイクを乗り回す姿を見かけていました。大徳寺はそんな馴染みある所でありながら、境内は時が静かに流れ行く非日常な空間を楽しめるお寺です。

訪れたのは、真珠庵。とんちで有名な一休宗純を開祖とする塔頭です。その寺宝である曾我蛇足、長谷川等伯の方丈障壁画の修復を機会に、新調した方丈襖絵のお披露目をされていました。現在活躍する6人のクリエイターで襖絵を手がけるという新たな試みです。入場料1200円という学生には高いお値段ですが、この新たな試み見逃すわけにはいかないと思い行ってみました。
室中は北見けんいちさんの「楽園」。釣りバカ日誌のゆるい漫画タッチを襖絵で見られます。はじめての組み合わせに衝撃です。描かれてる人は皆笑顔で北見さんなりの幸せな楽園なんだなあと感じられます。
檀那の間は山賀博之さんの「かろうじて生きている」。新世紀エヴァンゲリオンの制作会社の創設者の1人です。長谷川等伯と同郷ということで日本海を描いています。点描で描いたというウミネコ、戦闘機、己の心を映す円、女性と松が並びます。松は等伯に倣い一筆書きに挑んだようですが初めてということもあり力不足に見られました。
浜地創宗さんの「寒山拾得」。僧侶であり日本画家である彼は2年半真珠庵で暮らしていたそうです。銀杏の木は丁寧に絵の具が乗せられており、そこから寒山拾得が可愛らしく顔を覗かせています。真珠庵に暮らしていた経験があってか、襖絵がすっぽりその空間に納まっているという感じがします。
山口和也さんの「空花」。趣向を凝らして座禅で感じた闇の粒子を表してしている作品だそうです。わたしの力量不足か、あまりその創意工夫を汲み取れなかったです。仏間に填るとまた違った見え方がするのでしょうか。
井野孝行さんの「オトナの一休さん」。NHKの5分アニメのイラストを担当してる方の作品です。2日で描き上げたそう。もし大徳寺の襖絵を描くとなるとわたしなら震え上がりそうですが、すごい度胸です。アニメとおなじみの一休さんが歌っている姿が描かれています。
上国料勇さんの「Purus Terrae 浄土」。ファイナルファンタジーのアートディレクターを務めた方です。流石の描写力、上手い。実際モデルを見て写実的に描かれた神々の姿は見応えがあって楽しいです。ゲームグラフィックのような神々の世界が襖絵に広がる光景は今までにないもので不思議な感じがします。現代の美術を襖絵に落とし込んだ作品として今後も面白い見解がでてきそうです。上国料さんは公開期間も現場に来て襖絵を眺めているそう。まだ描き込むのなら是非つづき見たいです。

今回の襖絵。やはり壁に掛けるタブロー作品とは違い、襖絵は難しいのだと思いました。室内の壁に掛かった絵は観賞者がその平面世界に想いを馳せるものですが、襖絵は観賞者が作品のある室内の空間います。そのため襖絵が填められた部屋をどのような空間に感じられるのか、絵師達は趣向を凝らし制作します。今回そのような工夫が見られる作品が少なかったように思えます。個人的にはそういった襖絵の知識がある今をときめく日本画家が描いた襖絵を由緒ある大徳寺で見たかったように思います。
真珠庵には他にも重要文化財である通僊院があります。小さな暗い書院の中で映える「花鳥図」の金箔は厳かでいて美しいです。茶室である庭玉軒も小さいけど、それでいて心を静める力があるように思えます。ぜひ一度足を運んでみてください。