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芸研日誌

芸研日誌

2021年05月06日

部屋をめぐる旅

初めまして。
研究留学生のユウです。

今年は、日本での二年目であり、京都での一年目です。
コロナのため、「自粛」の生活と、これまで期待していた「旅人」というキャラクターには矛盾が生じていたようです。
私の場合、自分の「遊び心」は確かに「学び心」より強く、留学中にもっと多く見たり遊んだりできなかったことを後悔しています。
しかし同時に、芸術を学ぶ人は、環境に負けてはいけないとも思っています。
いわゆる「アート思考」「デザイン思考」とは、現在の生活にもっと向き合い、自分のために楽しさを想像し、他人のために楽しさを創造するものです。

緊急事態宣言の再発令前に、私が京都に来て初めて見た展覧会は、国立近代美術館でのピピロッティ・リストの個展「あなたの眼はわたしの島」でした。身体、女性、自然、エコロジー…彼女の作品はこのように分類され、彼女自身もフェミニストというレッテルを貼られています。この展示には、当然、「コロナ禍における鑑賞者と美術館の関係を再構築する」という役割も与えられました。
しかし、テーマやレッテル、役割などの前に、ピピロッティは何よりもまず、社会や人生に対して真摯に向き合う人であり、社会的背景に関わらずユーモアと勇気を持った女性だと私は思います。彼女はアートで自分自身の楽しみを作ることにこだわり、その楽しみを一般の人々にも提供し、現在の様々な社会的現実について一緒に考えるよう促しています。
場内での没入型の映像体験において、私は久しぶりに「感受力」が体に戻ってくるのを感じました。ピピロッティは、彼女のやり方で、その空間での目の前の映像や耳に入ってくる音に対して私へ注意を向けさせ、「現在」をはっきりと感じさせてくれました。
特に最後のギャラリーでは、「アポロマート」という作品群の中に身を置いた私は、ふと、日常の生活空間には、注目すべきディテールがたくさんあることに気がつきました。絵画、映像表現、光学技術は、まるで一面の虫眼鏡のように、私をダイニングテーブル、ソファ、本棚、カーペットなどの家具を見て回らせました。私はまるでリビングルームの中で旅行をしているかのようで、この旅行はまるで、自粛中に部屋に閉じ込められた自分に提供された一種の趣ある生活方式のようでした。

もしかしたら皆さんは、『部屋をめぐる旅』という本を知っているかもしれません。この展覧会の光景は、すぐにこの特別な旅行記を思い出させてくれました。
この本のタイトル通り、著者は家の中を旅しただけです。
例えば著者は、テーブルからベッドまでの移動ルートを自分で決めて、その道中で出会ったものや、最後にベッドに寝たときに考えたことなどを記録していきました。
この本が書かれた背景は、実際のところ、現在の私たちの自粛生活とどこか似ています。著者グザヴィエ・ド・メーストルは18世紀のヨーロッパの貴族で、決闘のために部屋に閉じ込められていました。インターネットがない時代に、自分がいる部屋に意識を集中させ、そこから想像力を膨らませて、このような面白い小さな本を完成させたのです。そのため私は、美術館であっても部屋の中であっても、創造性や想像力はとてもよく伝えられるのだと思いました。

「旅人」のキャラクターを忘れてはいけない、と私は最近、自分に言い聞かせているのですが、それはピピロッティが見る人に与える一つの気付きかもしれません。一人で部屋にいても、旅人になって人生の楽しいディテールを見つけることで、目の前の状況をできるだけ楽観的にとらえることができます。しかし私はもちろん、コロナ禍が効果的に収束し、皆が通常の生活に戻れることを祈っています。

それでは、これからどうぞよろしくお願いします。