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芸研日誌

芸研日誌

2020年06月09日

無い展覧会 第1回「笑顔の肖像」

北幸都乃 撰

笑顔の肖像

肖像画には、画家とモデルとの関係性や心の交流が如実に反映されます。ニッコリからニヤニヤまで、さまざまな笑顔の肖像画を見て心を穏やかにする展覧会。どうぞご笑覧ください。

ギャラリーへのリンクは→こちらをクリック

作品タイトルをクリックすると、Google Arts & Culture上の作品解説のページに飛ぶようになっています。合わせてご鑑賞ください。

1.Joshua Reynolds《A Young Girl and Her Dog》

ロココ時代に「歴史画こそ素晴らしい」と主張した、保守的なロイヤル・アカデミーの初代会長。そんなお堅い画家が、可愛い女の子と動物の画題、「ファンシーワーク」を描く面白み。柔らかい筆致の空気にくつろぐ穏やかな表情の犬が愛らしい。

2.Johannes Moreelse《Democritus》

3.Johannes Moreelse《Democritus, the Laughing Philosopher》

2点目、3点目は同一の作者による作品だ。「笑う人」の異名を持つ古代ギリシャの哲学者デモクリトスのキャラクターを前面に押し出す。満面の笑みは人生への楽観か、はたまた本質を見逃す我々への嘲笑か。同じ時期に同じ作者が同一人物を繰り返し描いた意図も興味深い。

4. Alexander Roslin 《The Lady with the Veil (the Artist’s Wife)》

肖像画家が、同じく肖像画家として名を馳せていた妻のジルーストを描いた作品。たおやかな笑み、意味深長なポーズや小道具からはストーリーが膨らむようだ。この作品を制作するにあたって、どんな会話があったのだろう。

5.George Romney 《The artist’s brother James holding a candle》

制作当時、モデルの弟は16歳。蝋燭の光で浮かび上がる表情や手の輪郭。静かな美しさが心に染み渡り、兄弟の仲の良さまで窺わせるような、しみじみと温かい作品だ。

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Web班コメント

・「笑う人」っていうキャラクター付けのデモクリトスが面白い。いっそデモクリトスばかり集めて見たい(田島)

・3の作品、めっちゃほくそ笑みながら和太鼓叩いている人いるわ〜〜って思ったら地球儀をゆび指してるデモクリトスでした…バチなんて持ってなかったですね。(田部)

・犬って抱かれている時基本的にこんな感じの「無」の表情するんですよね…。少女の満足そうな微笑みとは対照的に(森)

・17世紀のオランダにはトローニーという誇張された表情を描いた肖像があります。以前からよくあるすまし顔ではなくても、顔をくしゃくしゃにして笑う人はとても魅力的に見えます(山田)

・女性の色白の肌や微笑む上品な口元が理想的です….柔らかに表現された肌にうっとり見とれてしまいます。(池上)

・2の作品の男性。全体的に色白に描かれているのに、顔は紅潮。どんだけ楽しいのかとツッコミを入れたくなる。(畑中)

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全体的にデモクリトスが人気ですね。画題としては「泣く哲学者」の異名を持つヘラクレイトスと対比して描かれることが多いようです。

デモクリトスを描いた絵画は意外にもたくさんあって、著名なところで言えばピーテル・パウル・ルーベンスの《笑う哲学者デモクリトス》や《デモクリトスとヘラクレイトス》が挙げられます。前者は残念ながらGoogle Arts & Cultureでは見ることが出来ないようですが、興味を持たれた方は調べてみてくださいね。

飾らない満面の笑みには、きっと人を惹きつける力があるのでしょう。皆様と次に会うときも是非笑顔で!

さて、明日の第2回は山田さんにバトンタッチ。展覧会名は「静なるカオス」です。彼女は私たちにどんな混沌を見せてくれるのでしょうか。乞うご期待!!