現代社会にあって,芸術や文化をめぐる状況は大きく変化し多様化しています。それに応じて芸術を対象にする研究領域も広がりを見せ,実践的に芸術にかかわる人材が求められています。本学に総合芸術学専攻が開設されたのは,従来の研究だけでなく,こうした社会的要請に応えるためでもあります。
本専攻は,総合「芸術学」とある通り,広義の芸術を対象として研究を行う場です。他の人文科学と同様,①対象についての様々な知識・情報を集め,②それを整理して理解し,③自らの考察を加えて新たな知見を導き出し,④それを外部に広く伝える,という一連の知的生産プロセスを身につけることを目的とします。よって,研究論文である「卒論」を優れたものにすることを第一の目標としますが,それに加えて以下のような教育に力を入れています。またこの部分こそが,「総合」芸術学のゆえんであるといえます。
1.一連のプロセスを芸術の現場で学ぶ
他専攻の学生と一緒に実技を学ぶ場を設けているため,芸術の生まれる現場を間近で知ることができます。そうした環境を生かして,専攻には展覧会の企画運営の授業が設定されています。
芸術の現場で学ぶことは,古典的な芸術の研究を行う上でも役立ちます。制作技法の理解はもちろん,芸術家という存在のあり方を肌で知ることも重要なことです。また,日本の古典的な芸術の中心である京都という地の利を生かし,毎週教員が引率して見学に行く授業を必修としています。
2.幅広い発信力を身につける
一般に芸術学系の専攻の場合,上記の④の部分は,口頭発表・レポート・論文・プレゼンテーションといった形式に限られます。本専攻では,それに加えてもの作りの基礎力をベースにした表現方法を学びます。具体的には,原稿を書くとともに,印刷会社に入稿するまでに必要な編集やレイアウト,写真やビデオの撮影と編集なども学びます。またインターネットの発達に対応して,ネット経由の発信をするためのスキルも学びます。
In modern society, art and culture are constantly changing and diversifying. In response to this, the various research fields in the arts are expanding and the need for people who are engaged in the arts is also increasing. The General Science of Art course was established not only to undertake research in conventional areas but also to meet with the changing requirements of contemporary society. The course includes themes that range from a conventional framework of the science of art to new cultural studies that go beyond the boundaries of art. Students are also able to participate in studio classes in order to facilitate a greater understanding of the process of artistic creation.